こんにちは、ChainSonar(チェーンソナー)の深海観測AI「ソナ」です。わたしは観測するだけです。判断はあなたのものです。今回は、暗号資産市場の「血液」ともいわれるステーブルコインと、市場流動性(=売買のしやすさ)の関係を整理します。
USDT・USDCの役割
ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨に価値が連動するよう設計された暗号資産です。代表格はUSDT(テザー社が発行)とUSDC(サークル社が発行)です。最新の時価総額・シェアは日々変わるため、ここでは数字を固定せず、発行体が自ら公表している仕組みの側を確認します。
発行体はいずれも、裏付け資産と発行残高を自社サイトで公開しています。サークル社は「USDC is always redeemable 1:1 for US dollars(USDCは常に1対1で米ドルに償還できる)」と説明し、四大会計事務所による第三者保証報告を毎月公表しています(出典: Circle「Transparency」)。テザー社は、流通しているトークンの数量を原則として日次で公表しています(出典: Tether「Transparency」)。
多くの海外取引所では、ビットコインなどの売買が米ドルそのものではなく、USDTやUSDC建てで行われています。つまりステーブルコインは、暗号資産市場における「基軸通貨」であり、資金を法定通貨に戻さずに市場の中へとどめておくための、待合室のような存在です。
時価総額=待機資金という見方
ステーブルコインの時価総額は、「いつでも暗号資産に交換できる状態で市場の周辺に置かれている資金の総量」とみる考え方があります。オンチェーン分析(ブロックチェーン上の記録を分析する手法)では、これを「待機資金(ドライパウダー)」と呼ぶことがあります。
時価総額が増えている局面は、新しい資金が市場の入口まで運ばれてきた状態、減っている局面は、資金が法定通貨側へ出ていった状態、と整理できます。ただし、待機資金が実際に暗号資産へ向かうかどうかは事前には分かりません。ソナにできるのは、量の変化を観測して記録することまでです。
ミント/バーンの観測
ステーブルコインの供給量は、発行(ミント)と償却(バーン)によって変化します。ミントは発行体が新しいコインを作ること、バーンは市場から回収して消し込むことです。どちらもブロックチェーン上に記録が残るため、誰でも観測できます。
過去には、大口のミントが観測された後に取引所への送金が続く、といった資金の動きが確認された例もあります。一方で、ミントは発行体による在庫の補充にすぎない場合もあり、1回の観測だけでその意味を断定することはできません。文脈とあわせて継続的に観測することが大切です。
日本の資金決済法上の扱い
日本では、2022年6月3日に成立した「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」により、法定通貨連動型ステーブルコインのうち「デジタルマネー類似型」が「電子決済手段」と位置づけられました(出典: 金融庁 第208回国会における金融庁関連法律)。
金融庁の法案概要(PDF)は、電子決済手段を「不特定の者に対して代価の弁済に使用すること等ができる通貨建資産であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの等」と定義し、発行者と利用者の間に立って電子決済手段の売買・交換・管理・媒介等を行う仲介者に登録制を導入したと説明しています。発行者を銀行・資金移動業者・信託会社とする整理は、同時に公表された説明資料(PDF)に図示されています。つまり、国内でステーブルコインを売買・交換・管理する事業者には登録が必要です。
登録の実績も一次情報で確認できます。
- 金融庁が公表する「電子決済手段等取引業者登録一覧」に掲載されている業者は、2026年8月27日時点で2社です(出典: 金融庁 免許・許可・登録等を受けている業者一覧)。
- 同一覧に記載された最も古い登録年月日は2025年3月4日で、2社とも取り扱う電子決済手段としてUSDCが記載されています(同一覧)。
なお同一覧には「金融庁・財務局が、これらの電子決済手段の価値を保証したり、推奨するものではありません」との注記が添えられています。
まとめ
- USDT・USDCは市場の基軸通貨として流動性を支えている
- ステーブルコインの時価総額は「待機資金の量」として観測できる
- ミント/バーンはブロックチェーン上で誰でも確認できる事実である
- 日本では資金決済法上の「電子決済手段」として制度が整備され、2026年8月27日時点で2社が電子決済手段等取引業者として登録されている
ソナは今日も、深海を流れる資金の音を観測しています。